夕から薄暮の空(平成25年3月10日)

 山形市街も日が沈むにつれて、明るい部分が東のすみに追いやられてしまい、西の山々の上に浮かぶ雲に早春の太陽は隠れてしまった。富神山山頂を後にして来た道を下る。雪の上はさっきより一段と凍りついていて、上を歩くと雪渓を踏むような寒さを感じた。
 足場に気を取られて俯いて歩いていたが、ふと目を上げると、いつも目にする灌木の樹皮が暖かい朱色に染まって見えた。それから、林道のカーブのかげから雲間の夕日が山影に沈み込もうとしていているのが分かった。葡萄棚で三脚を担いだ男とすれ違った。夕から薄暮の空をフィルムにおさめるのだろう。駐車場のその男の車だけを残して帰る頃には私の頭痛も消えていた(完)。
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